昨夜、たぶん10年以上ぶりにクラシックのコンサートに出掛けた。
駐車場からホールに向かう湾曲した小径は
ほんのり灯るライトと
噴水の水の音と
そして秋の夜風と草葉に潜む秋虫の音色。
ああ。
いいなぁ。
*
もう10年くらい前になるのか
突然パニック症を患った。
今思えば 自分のキャパを超えた状態にあった事と
病気にも意味はあるから
その症状については割愛するけれど
現在は普通に不自由なく暮らすものの、
極端に人が多い場所や、公共の交通機関は現在も乗れずにいる。
(車は普通に乗る)
要は症状が出ると
逃げ出したくなるのですが逃げられない場所が苦手になってしまった。
幼いころからピアノ、合唱をしていた事もあって
クラシックコンサートはしょっ中出向いていたし
何なら舞台からの景色のほうが見慣れているほどだ。
*
チケットをピアニストの妹から譲り受けた。
うわ~行きたい
と思ったけれど
お席は招待席だったため
前から6列目の真ん中よりちょっと左側の超特等席。
途中退席が出来ないかも知れないと考えると過呼吸気味になりそうになる
なんとも情けない話。
想像しただけでドキドキ。
舞台から見ると
途中退席、寝てる人、興味なさそうな人って
実はハッキリ見えるんです。
それが分かるだけに
アーティストに不快な思いをさせるわけには行かないなぁと。
どうしようかな・・・という迷い。
純粋に音楽を愉しめに行けないなんて
悲しいじゃない。
どうなるかわかんないけど
行ってみよう。
仕事終わりの旦那さんを待って いざ。
*
ホールに入ると
一階席のいちばん後ろの列に座ろうとしていたお二人が目に入り
「あの、お二人でお越しですか?
こちらのお席は希望なさっての事でしょうか」
と聞いてみたら
「はい二人です。 いいえ。」
と。
「もしかしたら私、途中退席の可能性があって、
後ろのドアに近い方が良くて、この席、いかがでしょう?」
と座席番号を見せましたら
「いいんですか!?」
と目がキラキラ。
お連れの男性もニコニコ。
ピアノがお好きなのかな。
小曽根さんの手先が見える、良いお席だったので
それが分かる方だったようです。
昔のわたしならいい席を選んで座ったと思うけれど
こういう事情を持った人間も きっといるんだろうと自分が体験してみて思う。
出口扉が近いだけで 妙な安心感があったのだ。
*
結果、10数年ぶりに行ったコンサートは
とても情熱にあふれて楽しく
心地いい時間でした。
小曽根さんの指先からは
星屑のようなキラキラした音が
ひとつひとつきちんと立って空間に存在感を持って
放たれる。
中川さんの演奏は初めてでしたが
ファンキーさを感じてこころウキウキ。
ピアノとトロンボーンのセッション、素敵でした。
やっぱりライヴは素晴らしいです。
惜しみない拍手に 笑顔。
ひとって
笑顔がないとね。
わたしも今、ピアノやコーラスから遠ざかって
生き方もだいぶ 変化したけれど
それでも
音楽はいい。
そんな想いを噛みしめた夜でした。
秋は クラシックもたくさん流したい。